舞台裏のCocoon 2025年7月、東京都板橋区に 小さなバレエスタジオ「Studio Cocoon」をオープンしました。 日々の出来事や、暮らしの中で出会った 映画、音楽、本から受け取った感覚や余韻を、 モダンバレエと重ね合わせながら言葉にしていきます。

  • 選んだ道を歩く
    on 2026年3月6日 at 12:48 PM

    アメリカの詩人、Robert Frost の有名な詩に、The Road Not Taken という作品があります。詩はこんな情景から始まります。黄色い森の中で、二つの道が分かれていた。旅人はそこで立ち止まり、どちらの道へ進むべきか考えます。どちらが正しい道なのかは分かりません。両方を同時に歩くこともできません。そして最後に、詩はこう結ばれます。私は人のあまり通らなかった道を選んだ。それがすべてを変えた。人生の分かれ道を象徴する、とても有名な詩です。振り返ってみると、人生にはいくつもの分かれ道があります。どちらが正しいかは、その時には分かりません。通ったあとでさえ、正しかったのかも分かりません。地図もなければ、答えもありません。だからこそ最後は、自分で決めて歩き出すしかないのだと思います。人生は、正しい道を選ぶことよりも、選んだ道をどう歩むかで形になっていく。どの会社に入るのか。どの仕事を選ぶのか。もちろん大切な決断です。しかし、本当に人生を形づくるのは、その後の時間なのだと思います。どのような姿勢で仕事に向き合うのか。どのような人と出会い、何を学ぶのか。どのような時間を積み重ねていくのか。道は、歩くことで少しずつ形になっていきます。そして、この話は夫婦の関係にも通じます。誰と結婚するのかは、確かに大きな決断です。しかし、それ以上に大切なのはその人とどのような人生を共に歩んでいくのか。同じ相手と結婚しても、どのような会話を交わし、どのような時間を共有し、どのように困難を乗り越えていくのかによって、人生の景色は大きく変わります。結婚もまた、「正しい相手を選ぶ」ということ以上に選んだ相手と、どのように道を歩んでいくのかという物語なのだと思います。振り返れば、人生にはいくつもの分かれ道があります。そのときにどちらが正しかったのかは、後にならなければ分かりません。ただ一つ言えるのは、歩いてきた道だけが、自分の人生になるということです。続きをみる

  • コントロール
    on 2026年2月5日 at 11:05 AM

    少し前に書いたブログに、あるコメントをいただいたことがきっかけで、「コントロール」という言葉について考えました。結果と準備。自分で動かせるものと、どうしても動かせないもの。日々の中で、その境目に立たされる場面は、思っている以上に多い気がします。結果は、ほとんどコントロールできません。舞台に立てば、本番の空気、照明、客席の雰囲気や身体の状態。どれも、完全に思い通りにはならない。文章を公開しても、どれだけ読まれるか、どう受け取られるかは分からない。仕事も同じです。どれだけ準備した企画でも、相手の判断や事情で進まないことがある。タイミングひとつで、結果が変わってしまうこともある。評価や成果は、いつも自分の手の中にあるわけではありません。でも、準備は違っていてレッスン前に、身体をほぐしておくこと。振付を何度も確認すること。無理をしないと決めること。文章を書く前に、一度書き出してみること。言葉を削ること。今日は出さないと判断すること。仕事であれば、資料を整える。数字を確認する。事前に起こり得ることを想定しておく。それらはすべて、自分でコントロールできることです。準備の時間は、ほとんど誰にも見えません。成果がすぐに表れるわけでもなく、「これで意味があるのだろうか」と思う日もあります。それでも、準備をしていると、結果に振り回されにくくなります。うまくいかなかったときでも、立ち止まり方や、次にやるべきことが見えてくる。準備は、結果を保証するものではないけれど、自分を崩しきらせないための支えにはなります。コントロールできないことがある、という前提で生きる。その上で、コントロールできる部分を丁寧に整えていく。舞台でも、仕事でも、日常でも。派手さはないけれど、その積み重ねが、自分を前に進ませてくれると感じています。続きをみる

  • どうせ最後は上手くいく!
    on 2026年1月29日 at 12:18 PM

    最近読んだ『生きのびるための事務』は、坂口恭平氏が、自身の経験をもとに創造を続けながら現実を生き抜くための「事務」について語った一冊です。ここでいう事務とは、雑務や裏方作業ではなく、思考や衝動を現実につなぐための、静かで実践的な行為。華やかではなく、評価もされにくい。スケジュールを整え、数字を確認し、やるべきことを一つずつ処理していく。淡々とした作業です。けれど、これがなければ、多くのことは途中で立ち行かなくなってしまう。衝動だけでは生活は不安定になるし、すべてを枠に合わせて生きるのも息苦しい。その間をつなぐものが「事務」なのだと思います。事務は、創造の対極ではなく、それを支える土台。思いつきを放置せず、現実に着地させるための準備です。考えるだけでは何も残らない。形にするには、とりあえず手を動かすことが必要になる。うまくいかない時期も、不安になる日もあるけれど、事務を続けていると、感情に飲み込まれず、次にやるべきことが見えてきます。だから私は、生きのびるために、今日も事務をします。「どうせ、最後はうまくいく」この言葉を、派手な希望ではなく、静かな作業の支えとして。続きをみる

  • 一瞬も一生も美しく
    on 2026年1月26日 at 12:14 PM

    某化粧品会社の「一瞬も一生も美しく」という言葉があります。これはコーポレートメッセージ(企業理念)で、「瞬間的な美しさ」と「年齢を重ねた先にある永続的な美しさ」の両方を大切にする考え方です。決して、「アンチエイジング」ではなく、その年齢ならではの美しさを肯定しています。続きをみる

  • 大人バレエ、はじめの一歩が舞台につながるまで
    on 2026年1月21日 at 10:40 AM

    Dance Labo Cocoon は、第55回ふれあいステージ(板橋区立文化会館・大山文化会館)に参加させていただくことになりました。大山文化会館のステージは、地域の多くの団体が集う大舞台。広い舞台空間と、本格的な照明・音響の中で踊ることができる、とても特別な経験の場です。Dance Labo Cocoonからは、ベビーから大人まで、総勢約20名が出演し、約10分間の作品を披露します。年齢も経験もさまざまなメンバーが、この大舞台に一緒に立つこと。それだけでも、ひとつの大きな挑戦です。練習を重ねる中で、去年から新しく入っていただいた大人バレエの生徒様から、こんな声が聞こえてきました。「自分たちの踊りを、観客の方だけでなく、ほかの生徒さんにも見てもらえるのがうれしい」上手に踊ることや評価されること以上に、「踊ることが好き」「誰かに見てもらえることがうれしい」そんな純粋な気持ちが、今回の作品の土台になっています。大舞台に立つ緊張の中でも、踊るよろこびや、その人らしさが、きっと自然と伝わる時間になると思います。地域に開かれた公演ですので、モダンバレエやダンスを観たことがない方にも、気軽に楽しんでいただけるステージです。お時間が合いましたら、ぜひ会場で、生徒たちの舞台を見守っていただけたらうれしいです。皆さまのご来場を、心よりお待ちしております。第55回ふれあいステージ|板橋区立文化会館出演予定は、3月15日(日)15:40〜15:50 大人文化会館→https://www.itabashi-ci.org/culturehall/access/続きをみる