繋ぐこと
子どもと話していたとき、ふいに聞かれました。
「パパとママは、いつかいなくなるの?」
子どもを持つ親なら、一度は向き合う言葉かもしれません。
正直に答えるべきか迷いましたが、
「いつかはいなくなるよ。
でもその頃には、あなたにも大切な家族ができてるから大丈夫だよ。」と答えました。
すると子どもは目を潤ませながら、
「神様がいなくなれば、そんな決まりなくなるよね?
パパとママがいなくなるの、やだ。」
“死”という概念をまだ知らない年齢だからこそ、
その言葉にはまっすぐな愛と、不安が混ざっていました。
本当は、家族とはずっと一緒にいたいものです。
それは大人になっても変わりません。
けれど私たちは、いつかこの世界を去ります。
だからこそ何かを継いでいくこと。
それが人生の目的のひとつなのだと思います。
交わした言葉。
手の温もり。
楽しい記憶、悲しい記憶。
そして、生きる姿勢。
それらは目には見えない“バトン”のように、
次の世代へ静かに渡されていく。
人は、いなくなる瞬間よりも
残していくものがあるかどうかで永く生き続けるのだと思います。
ダンスも、
ひとつの動きには、教えてくれた誰かの想いが宿り、
音楽に合わせて、また次の誰かの心へと渡されていきます。
たとえ舞台が終わっても、
その光や鼓動は、観た人、踊った人の中に生き続ける。
スタジオを続けるということは、
「継承」の営みの真ん中に立つこと。
踊りの火さえ絶やさなければ、
未来の誰かがきっとまた、その火を灯してくれます。
いつかまた、
「パパとママ、いなくならないで」と言われたら、
「大丈夫。姿が見えなくなっても、
パパとママはずっと、あなたの中で生きてるよ」
そう胸を張って伝えられる親でありたい。
その未来を、一緒につくっていこうと思います。


