盾とバレエ
先日、ふと
盾(シールド)
のことを思い出し、読み返しました。
この本を最初に読んだのは、今から20年近く前のことです。
物語は、幼い頃から共に育った二人の少年が、
「人の心には、とてもやわらかい大切な中心があり、それを守るために人は盾(シールド)を持つ」
という教えを受けるところから始まります。
成長とともに、二人は異なる生き方を選びます。
一人は、成功や肩書、評価を盾にして生きていく。
もう一人は、目に見える成功から距離を取りながら、自分の感覚を大切に、静かに生きていく。
当時の私は、
「盾=強さ」
「守る=負けないこと」
そんなふうに、どこか単純に受け取っていた気がします。
けれど、時を経て読み返すと、
この本が語る「盾」は、もっと繊細で、やさしいものに感じられます。
例えば、バレエの世界。
身体も、感覚も、心も、とても繊細で、
ほんの少しのことで簡単に揺らいでしまいます。
だからこそ、人は無意識のうちに盾を身につけます。
テクニック。
経験年数。
「できる自分」であろうとする意識。
それらは、舞台に立つため、続けていくために、
確かに必要な盾でもあります。
けれど、その盾が厚くなりすぎると、
音楽や呼吸、身体の奥にある感覚から、
少しずつ距離が生まれてしまうこともあります。
強く固めることではなく、
やわらかさを失わないまま立つこと。
本当に守りたいのは、
評価や結果よりも、その感覚なのかもしれません。
20年近く前に出会った一冊が、
今になって、静かに腑に落ちてきます。
年齢や立場が変わっても、
この物語が投げかける問いは、
バレエに関わる多くの人の心にも、そっと触れるように思います。


